柔道着を寄付した話

私は高校で二年生の担任をしていたことがあるのですが、2学期になると柔道が始まります。

そして柔道が終わると、柔道着が教室に溜まります。生徒は持って帰らないものが多くて困っていました。

何か良い処理の仕方がないものかと考えていた時に、あるNPO法人が講演でやってきました。

話を聞くと、発展途上国では毛布が必要だとのことでした。それで後から、柔道着はどうなんですかねと尋ねると、持ってきてもらえたら外国に送りますよ、とのことでした。

それで早速その日の夕方に柔道着を車に積んで持っていきました。これで教室が広く感じられるようになり、よかったなあと思っていました。

そして何の気なしにテレビでニュースを見た時のことです。東ティモールで暴動が起きている場面が映像で流れていました。

雇用者側が、労働者を低賃金で雇っているので、それが原因で暴動が起きているということでした。

NPO法人は東ティモールのコーヒー農園でフェアトレードを実施しているとのことでした。その事件はニュースで10分くらいの特集をしていました。

暴動が起きている村は、さすがに機関銃やマシンガンで武装しているわけではありませんでした。石を投げたり、鉄の棒を投げたり、非常に原始的な民衆蜂起でした。

そして私はある人に目が釘付けになりました。どうしてかと言いますと、ある男の人が柔道着を着て石を投げているのです。あんな赤道に近い島国で生活しているのに、柔道着なんか着て、暑くないんだろうかと不思議に思っていました。

しかも石を投げるということは一種の運動のようなものです。わざわざ柔道着を着てまですることじゃあないよ、と疑問を抱いていました。

そしてその場面は終わったのですが、後から気になり始めたのです。あの柔道着はもしかしたら、私が寄付したものなのではないかと。

録画をしていたので、その男の人が石を投げるところをスロー再生でじっくり見ることにしました。なんと左の胸の部分に油性マジックでうちの高校の生徒の名前が書いてあったのです。

柔道着の名前のことなんかフォーカスされることはないと思いますが、何だか複雑な気持ちになってしまいました(笑)