メインスイッチが入る瞬間

3日目、4日目も同じようなメニューの繰り返しで、これは先行きどうしようかと思い始めた頃、京都高雄倶楽部に発注していた糖質制限食の「ローカーボふすまパン」が届いた。

このふすまパンは100g中に含まれる糖質は3・9gで安心して食べられるとあって、その到着を心待ちにしていたのだ。だが、冷凍で届いたそのパンは、凍ってガチンガチンで、切るだけでも面倒臭かった。だがパンであるだけで有り難かった。それをレンジで解凍してから夜、主食の代りにバターを塗って食べる。

正直言って味は少し期待はずれで、あまり美味しいものではなかった。だが、主食としてパンが食べられるのは大きかった。このふすまパッの到着から料理に少しバリエーションが増え、ハムやソーセージ、肉を焼いた時に重宝した。

こうした生活を続けるうち、自分でも手応えが分る「瞬間」が訪れた。糖質制限食を始めて1週間程経った時の昼だった。昼食を食べていると、突然「ポン」と音がしたような気がして、急に気が楽になった。

汪部氏や宮本氏の著書を繰り返し読んでいるうち、メインスイッチが入る瞬間があるというので「ああ、これだな」と自分で分ったぐらいだった。この日から体重がみるみる落ちていき、1日2キロぐらい減って、開始1週間で7キロ減となった。

ところが、その直前の5日目ぐらいが糖質の「最後の抵抗」で、最高にツラかった。糖質が無性に摂りたくて仕方がない。頭で食べる気もないと分かっていても、戸棚の中の乾麺類を探し、表示を眺めてはまた元の場所にしまったりした。冷凍のふすまパンにもすぐに飽き、半分を切った所で食べるのが嫌になった。

1番辛かったのは心の不安である。糖質が入ってこないため、脳が心に命令しているのか「こんなこと、何時まで続けているんだ」という思いがこみ上げてきた。

それに打ち克つだのは、「理性」と「情報」である。江部氏の著書を最初に読んでいたので、これは、糖質を多く含む食事を長年続けてきた結果の、糖質過多の禁断症状だと思い「とにかく今度だけは、糖質は取らないよ」と自分自身に命じた。すると、1週間目を過ぎたあたり(人によっては10日目あたり)でポーンとメインスイッチが入り、身体も心もツキが落ちたように楽になったのだ。

身体のエネルギーシステムが、それまでの「ブドウ糖・グリコーゲンのシステム」から体脂肪を燃やしてエネルギー源とする「脂肪酸・ケトン体のシステム」に切り替る瞬間だ。ここまでが第一関門である。